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富山第一銀行

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取締役頭取 野村 充

皆さまには、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
本年1月の「令和6年能登半島地震」により被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
ここに当行第113期の営業の概況と決算の状況につきましてご報告申し上げます。
2023年度を振り返ると、海外経済の減速から一部に弱めの動きが見られるものの、脱コロナに伴う社会経済活動の正常化による個人消費、インバウンド需要の持ち直しなどから景気は緩やかに回復しました。また輸入コストや人件費の増加を販売価格に転嫁する動きが広がるなど、デフレ脱却の条件である「物価と賃金の好循環」が生まれ始めた年でもありました。
こうした状況を踏まえ、日本銀行は3月の金融政策決定会合で、「イールドカーブコントロール」を解除し、短期金利の操作を主たる政策手段とする平時の金融政策に移行、併せて金利の引き上げを実施しました。これを受けて、当行も4月1日より預金金利の引き上げを行うなど、銀行経営を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。
一方、当行の営業基盤である北陸地区においては、1月に発生した「令和6年能登半島地震」により一部の取引先に大きな被害が発生し、地域の経済活動に大きな打撃となりましたが、当行としても一刻も早い回復の手助けとなるよう取組んでおります。
既述の通り、物価の上昇や金融政策の転換により、銀行経営を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。また脱炭素・DX(デジタル・トランスフォーメーション)の進展に加え、コロナ禍後の産業構造・お客さまの行動様式等も加速度的に変化しており、当行が対処すべき課題は一段と複雑化かつ高度化しています。
こうした環境のもと、当行は、お客さまファーストを徹底し、地域の成長の一翼を担い、共に価値を創造する銀行グループへ成長することを目指して、昨年6月に「ファーストバンクVISION10」を公表いたしました。
事業者の皆さまの幅広い経営課題の解決に向けた多様な資金ニーズに積極かつ迅速に対応するとともに、持続可能な経営の実現に向けたSDGsの取組みや経営改善計画の策定、脱炭素などの新たな取組み、お取引先への人材紹介など、コンサルティングの面でも幅広く支援を強化してまいります。
個人のお客さまに対しては、新NISAを含め、より長期の視点で資産形成を支援する体制づくりを徹底しており、一段と高いレベルで、「お客さま本位の業務運営」を実現してまいります。また、東証プライム上場企業に求められる中長期的な企業価値向上に向けた取組みとして、当行の資本コストを踏まえた持続的な収益力の向上、適切な株主還元に努め、課題とされるPBR(株価純資産倍率)の早期改善を図ってまいります。
2024年度は当行創立80周年を迎える重要な節目の年であり、「ファーストバンクVISION10」に沿った様々な施策の取組みを一層強化するとともに、多額にのぼる有価証券の含み益を積極的に活用し、バーゼルⅢ最終化を見据えて、強固な資本基盤の確立を前倒しで進めてまいります。また4月に完全子会社化したグループ3社を含め、当行グループ全体の効率化、シナジー効果の発揮、ダイナミックな業務範囲の拡大やグループガバナンスの強化を図ることにより、企業集団としての価値向上を実現してまいります。
株主ならびにお取引先の皆さまには、一層のご支援を賜りますよう心からお願い申し上げます。

2024年6月

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